「花巻の停車場にて汽車をおり、北上川を渡り、その川の支流猿ヶ石川の渓を伝ひて東の方へ入ること十三里」。柳田国男の「遠野物語」の序文に、遠野(岩手県)の場所が紹介されている◆江戸時代には南部家1万石の城下町。だが、明治から大正時代に進んだ鉄道網の整備でその地域流通の中継地としての役割をなくし、奥深い山里となった。遠野物語の大半は山里の神々や天狗、河…