平成7年1月17日、午前5時46分。自宅の寝室で、ゴォーという音とともに目が覚めた。寺田寅彦博士の「天災は忘れたころにやってくる」はまさに至言だが、忘れるよりも何よりも、その日の朝まで半ば確信的に「神戸に地震はない」と思い込んでいた。それだけに、「死ぬかもしれない」と直感するほどの強烈な揺れのなかでさえ、「震源地はどこだろう」と考え、まさか自分の…