今回のJMSで最も注目を集めている1台が新型「エルグランド」
「写真写りが悪い?」実物は立体的で繊細なデザインだ
日本車離れしたサイズで迫力満点の「パトロール」。クリーンなデザインを採用している
新型「リーフ」もまもなく発売される1台。デザインからハードまで全面刷新した
ホンダの新世代EV「ゼロシリーズ」。手前の「サルーン」はこのデザインで市販化するという
N-ONE e:ベースの高性能EV「スーパーワン」。初代シティの「ブルドッグ」を思い出さずにはいられない
前回のJMSで初披露した「プレリュード」。今回は市販車として登場。600万円超と高額ながら注文殺到の人気モデル
ホンダの世界最量販モデル「CR-V」。まもなく日本市場に復活する。展示車両はハイブリッドの「RS」

前回から名称を一新した「ジャパンモビリティショー(JMS)」が東京ビッグサイトで開幕した。会場では自動車メーカー各社の最新モデルの展示をはじめ、未来のモビリティ体験、スタートアップによる新技術の提案、さらに歴史やカルチャーにフォーカスした企画など、見どころは尽きない。

注目を集める今年のJMSを、日刊自動車新聞電子版の編集メンバーが独自の視点で気になるポイントを紹介する。

「いくっしょ、モビショー!」。会期は11月9日まで。

 

「東京モーターショー」から名称変更して2回目となる今回のJMS。前回同様に“クルマ”にとらわれないさまざまなモビリティの形が提案されている。でも、大丈夫。今回もこれまでモーターショーに毎回足を運んできたクルマ好きが気になるような展示が目白押しだ。特に今回のJMSは近未来を打ち出しているということもあり、実際に展示されている車両も、そう遠くない将来に発売されそうなモデルが多い。クルマ好きにとっては、これまで以上にリアリティーのあるショーともいえそうだ。

 

ついに姿を現した新型エルグランド

「西ホール」にブースを構える日産自動車。今回のJMSで最も注目を集めている1台といえそうなのが、2026年夏の発売を予定する新型「エルグランド」だ。

3代目となる現行エルグランドのデビューが2010年。16年ぶりのフルモデルチェンジとなる。その間、ライバルのトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」は2度のモデルチェンジを経て、いまや上級モデルの最量販車種となるまで急増。ライバル不在のアルファードという現状に、否が応でも新型エルグランドへの注目は高まる。

新型エルグランドは、現行のプラットフォームをベースに大幅な改良を加えて刷新。パワートレインは第3世代のシリーズハイブリッド「eパワー」で、日産が電気自動車(EV)で培ってきた技術を用いた電動四輪駆動システム「eフォース」と組み合わせる。電子制御サスペンションも採用し、ミニバンでも日産ならではの“走りの良さ”を前面に打ち出している。

デザインのテーマは「リニアモーターカー」。アルファードの押し出しの強さとは異なり、モダンで洗練された雰囲気を強調する。展示車両には、ブラウン系の2トーンのボディーカラーを採用し、上質さをアピールしている。

発表されたオフィシャル画像に対する世間の評判は賛否が分かれているようだが、実物を見ると、写真よりも印象は良かった。現行プラットフォームがベースのためか、プロポーションは現行モデルに近い印象だが、リアの弓のように逆反りした立体的なデザインなどが個性的だ。フロントの“ツブツブ顔”も実車の方が好印象。JMSの会場でぜひ実物をチェックしてほしい。

日産ブースでもう1台注目を集めるのが「パトロール」だ。トヨタ「ランドクルーザー300」のライバルとなる大型SUVで、JMSで国内市場に27年度前半に導入することが発表された。

パトロールは中東地域を中心に富裕層から支持を集めている。日本では持て余しそうなほど大柄なSUVながら、デザインはシンプルで洗練された印象だ。これは中東の富裕層が「洗練されたデザインを好む」(説明員)ためだという。今回展示した白いボディーカラーもその印象を強くする。一方、内装は赤と黒の2トーンのフルレザー。シートの刺繍なども個性的で、とにかく派手で豪華だ。ランクルとは異なる選択肢として、日本でも人気を集めるのではないか。

このほかにも、まもなく発売する全面刷新した新型EV「リーフ」や、軽スーパーハイトワゴンの新型「ルークス」をはじめ、マイナーチェンジするEV「アリア」などが展示されており、業績が厳しい日産の復活への意気込みが感じられるブースとなっている。

 

レトロから未来まで市販してしまうホンダ

連絡通路を渡った先にある東ホールに入ると、ホンダブースがある。「ホンダジェット」からロケット、大型船外機まで展示してあり、まさにモビリティショーといった雰囲気だ。

ホンダブースでセンターを飾るのは、新型EV「ゼロ」シリーズ。初公開はエントリーモデルの小型SUV「セロアルファ」だが、クルマ好きとしては隣に並ぶ、まるでスーパーカーのようなエッジの立った低いシルエットが個性的なJMS初披露となる「サルーン」が気になる。未来感満点なのに、ほぼこのままのデザインで市販するというのだから興味は尽きない。

EVでは「N-ONE e:」ベースの高性能EV「スーパーワン」のプロトタイプも初公開した。日本では26年に発売予定で、迫力のあるブリスターフェンダーを備えたデザインに、旧来のクルマ好きは否が応でも往年の「シティ・ターボII」、通称「ブルドッグ」の姿を連想する。幅広いフェンダーは当然、軽規格には収まらないので、登録車扱いとなる。

ブースでは、日本でまもなく復活する新型「CR-V」は、ハイブリッド車と燃料電池車の両方を展示している。先日発売した新型「プレリュード」も来場者から注目を集めそう。

気兼ねなく実車に触れて乗り込むことができるのも、JMSならではの魅力だ。