富士通の時田隆仁社長(左)とエヌビディアのジェンスン・ファンCEO(右)

富士通とエヌビディアは10月3日、製造業やロボティクスなど向けに人工知能(AI)を業務にフル活用するインフラを提供するため、戦略的協業を拡大することで合意したと発表した。富士通のCPUとエヌビディアのGPUを搭載したコンピューティング基盤上で、企業や産業に特化したAIエージェントが動作するフルスタックAIインフラを構築。産業や企業横断的なAI導入や活用を支援する。

富士通とエヌビディアは15年以上にわたってスーパーコンピューターの開発などで連携してきたが、今回、AIインフラの領域へと協業を広げる。

富士通のCPU「モナカ」シリーズと、エヌビディアのGPUを密連携するために、CPUとGPUが低遅延でデータをやり取りできるエヌビディアの「NVリンクフュージョン」を活用。これにより、高速処理と高いセキュリティー性能を両立したAIコンピューティング基盤を共同開発する。

この基盤には、製造業やロボティクスなどの領域に特化したAIエージェントプラットフォームを用意し、AIエージェントが顧客企業のニーズに対応する。AIエージェントは自律的に学習・進化し、顧客企業のカスタマイズにも柔軟に対応するフルスタックAIインフラを提供する。

第一弾として産業用ロボットを手掛ける安川電機と連携する。安川電機のAIやロボティクス技術に適したAIインフラを提供して、周囲の状況を把握した上で自律的に動作するフィジカルAIを活用したロボット開発を支援する。

同日に都内で開いた戦略的協業を拡大する発表会で、富士通の時田隆仁社長は「(社会や企業の)課題解決には十分な処理性能を持つAIインフラ必要。エヌビディアとAIインフラを構築することで、AIが課題を解決する領域の可能性を高める」と述べた。

また、来日したエヌビディアのジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)は「AIは現在最強の技術であり、すべての企業はAIに支えられるようになり、AIは不可欠な基盤になる」と述べ、富士通とともに、企業が導入しやすいAIインフラを構築して企業のAIの活用を促進していく方針を示した。