エヌビディアのファンCEO(左)とソフトバンクグループの孫会長

 人工知能(AI)半導体で世界最大手のNVIDIA(エヌビディア)のジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)は13日、都内のホテルで開いた「AIサミット・ジャパン」で会見し、自動車生産工場など向けにAIを搭載したロボットの開発を本格化する方針を示した。自動車やロボット産業が集積する日本での開発と普及の加速に期待を示した。トヨタ自動車や川崎重工業、安川電機などと連携していく。

 ファンCEOは基調講演で「従来のロボットは生産性向上に貢献してきたが、作業の応用は難しく、柔軟性に欠けていた。フィジカルAIを適用することで、この問題は解決できる」と語った。

 具体的には、自動運転車向けの技術を応用し、エヌビディアの製品を活用して機械学習やシミュレーションを繰り返して開発したAIをロボットに搭載していく。ファンCEOは「自動車とロボットを製造している日本は(AIロボット開発で)パーフェクト」と指摘。ただ「人の仕事をロボットに置き換えるのではなく、作業者1人がやっている仕事の50%をAIが賄うことで生産性が高まる」と付け加えた。

 自動運転車に関しては「自動車はAIの運転になるか、自ら運転したいならコ・パイロットになる。すべてのクルマはロボットカーになると確信しているが、汎用AIにはならず、そこが自動車メーカーの競争領域になる」と語り、各社でAI開発が進むと予想した。

 イベントでファンCEOと対談したソフトバンクグループの孫正義会長は「日本はものづくりに価値の重点が置かれ、ソフトを過少評価してきたが(AIで)ソフトの時代が到来した。AI革命を止める動きがない日本は(他国に)キャッチアップするチャンスだ」と日本でのAIの進化に期待を寄せた。ファンCEOも「リセットの時代が来た。日本はAIの進化に必要な膨大なデータがあり、アーティストがおり、ゲーム会社がある」と応じた。