豊田合成は、持ち分法適用会社の芦森工業をTOB(株式公開買い付け)で完全子会社化すると発表した。買い付け完了後は非公開化する。12日から開始し、買付価格は1株当たり4140円。買付代金総額は約179億円となる。豊田合成の齋藤克巳社長は、8日のオンライン会見で「両社のコア技術を掛け合わせることで成長と発展が果たせる」と語った。
豊田合成は2021年5月に芦森工業と資本業務提携を結び、13.89%の芦森工業株を取得した。23年11月には28.37%まで追加取得して持ち分法適用会社にしていた。
今回の完全子会社化により、エアバッグなどセーフティシステム事業における統合効果の最大化と、機能製品事業のさらなる成長を目指す。
セーフティシステム事業では「エアバッグとシートベルトのセット開発や提案を進化させ、迅速化を図る」(安田洋副社長)方針。セーフティシステムの総合サプライヤーとして、2030年には世界シェア2位を目指す。
グローバルでの生産・供給体制も強化する。タイやインド、メキシコでは両社の拠点が近隣にある。これらの重複を解消することで効率的な生産レイアウトを整える。
芦森工業の自動車安全部品の顧客別売り上げはマツダが6割と最も多い。「トヨタ外が芦森工業とやっていくメインの取り組みになる」(安田副社長)として、トヨタ以外への拡販を進めていく。
商用車分野にも力を入れる。安田副社長は「これから安全規制も変わってくる。ここは芦森工業も力を持っている分野なので、まずはそこに注力する。商用車分野は優位性が出る」と話した。