6月27~29日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された「東京アウトドアショー2025」では、自動車メーカーがアウトドア愛好家から人気の高いSUVなどを出展して注目された。国内新車市場で人気が高いカテゴリーであるSUVやミニバンはアウトドアとの親和性が高い。〝アウトドア好き〟が集まるイベントで、こうしたモデルをアピールした。会場ではキャンプ用品や釣り、サイクリングなど、さまざまなアウトドアギアと組み合わせて展示し、来場者のアウトドア気分を盛り上げるのに一役かっていた。
東京アウトドアショーは多様なアクティビティと関連するカルチャーを幅広く紹介して、アウトドアの魅力をアピールするイベント。今回のテーマは「新しいアウトドア体験」。キャンプだけでなく、登山やトレッキング、ボルタリングなど、多彩な活動につながるグッズなどを展示してアウトドア初心者から上級者まで、来場者が新しい体験に一歩踏み出す場の提供を目指した。
さまざまなアウトドア体験と親和性の高い自動車も展示の目玉の一つだ。今回のショーには、国産車と輸入車の計6ブランドが出展した。オートキャンプ向けのミニバンやトラックなど、実用性を備えた車両などが展示されたが、今回はSUVに関心を示す来場者が目立った。
東京アウトドアショーに初出展したトヨタ自動車はトヨタガズーレーシング(TGR)としてブースを構えた。キャンプ志向の高い人に人気の「ランドクルーザー」シリーズのうち、1960年に発売した「40系」と80年に市場投入した「60系」といった古いモデルを展示するとともに、生産停止となった補修部品を復刻するプロジェクト「GRヘリテージパーツ」を紹介した。
展示した40系と60系のランクルは同プロジェクトの対象車種だ。ブースの担当者は「家族で乗り継いだり、知り合いから譲ってもらったりするケースも多い。長く使ってくれている人にプロジェクトを通じて恩返したい」と語った。
スバルは、4月に国内市場に投入した新型「フォレスター」など、合計4台のSUVを展示した。ルーフラックをはじめ、車両購入時に装着できる販売店オプションアイテムをフル装備し、アウトドアとの親和性の高さをアピールした。担当者は「カーナビゲーションシステムやETCなどの標準装備が進んでいる中で、車両に最適に設計したアイテムをアピールし、車両に加えて用品の拡販にもつなげたい」としている。
また、商用車メーカーのいすゞ自動車は初出展だ。2017年3月の免許制度改正以降の普通免許で運転できる小型トラックの「エルフミオ」のコンセプトカーなど3台を展示した。オートキャンプなど、さまざまな用途に活用できることをアピールした。
輸入車ブランドではフォルクスワーゲングループジャパン(VGJ、マティアス・シェーパース社長、愛知県豊橋市)が、フォルクスワーゲン(VW)の電気自動車(EV)のミニバン「ID.バズ」を展示した。6月20日に国内市場向けモデルを発表してから一般イベントでは初めて実車を展示した。EVとして広い車室空間を利用してアウトドアギアを多く積載できることをアピールした。同社では「ミニバンのEVという独自性を訴求する」(担当者)ことで、アウトドア愛好者の需要を開拓していく方針だ。
ジャガー・ランドローバー・ジャパン(JLRジャパン、マグナス・ハンソン社長、東京都品川区)はSUV「ディフェンダー」の25年モデルを展示した。テントなどのキャンプ用品も紹介し、来場者にディフェンダーを使ったオートキャンプのイメージ付けを図った。
ステランティスジャパン(成田仁社長、東京都港区)はシトロエン・ブランドとして参加し、ミニバン「ベルランゴ」を2台展示した。ブースでは「無印良品」を展開する良品計画が運営するキャンプ場と協力して開催している顧客向けイベントも紹介した。
コロナ禍を機に一気に人気が高まったキャンプブームだが、最近では落ち着いてきた。ただ、キャンプだけでなく、登山や釣りなど、アウトドアは多様化しており、多彩な活動に広がっている。これらアウトドア活動を実現するのに必須のギアが自動車だ。自動車各社はアウトドア志向の強いユーザー層に各モデルがアウトドア活動に適していることをアピールすることで、アウトドア活動を盛り上げようとしている。