経団連は5月29日、都内で定時総会を開き、副会長にトヨタ自動車の佐藤恒治社長を選出した。あわせて経団連モビリティ委員会の委員長に就任した。これまで委員長を務めていた豊田章男氏(トヨタ会長)と十倉雅和氏(経団連前会長)は退任する。共同委員長の片山正則日本自動車工業会会長(いすゞ自動車会長)と茅本隆司日本自動車部品工業会(日本発条会長)は留任する。

総会後の記者会見で佐藤氏は「未来のためにやるべきことはサプライチェーン全体でものづくりの基盤をしっかり整えていくこと。そして技術を磨いてイノベーションを追求すること。カギを握るのは産業を超えた連携だ」と述べた。

モビリティ委員会は2022年6月に発足。自動車産業を軸に鉄道や航空、観光、金融、エネルギーなど幅広い企業が参画し、「モビリティ産業」の成長戦略を打ち出してきた。

会見ではモビリティ委員会の佐藤委員長に対し、日産自動車のリストラ策で国内工場の閉鎖を検討していることについて、国内の自動車産業や雇用への影響についての質問が出た。佐藤委員長は「日本の自動車産業の一番大きな競争力は強靭なサプライチェーンにある。それを業界全体で守っていくような取り組みを考えていくべきだ」と述べた。

同日の総会で、経団連の会長には日本生命保険の筒井義信前会長が就いた。金融機関出身の経団連会長は初めて。佐藤副会長は日本の基幹産業である自動車メーカートップの立場から筒井会長を支えることになる。トヨタ出身者で経団連副会長に就くのは早川茂氏以来、4年ぶりとなる。

新副会長はこのほか、小川啓之コマツ会長、時田隆仁富士通社長、木原正裕みずほファイナンシャルグループ社長の4人。