会見で陳謝するキャロン氏(右)ら経営陣

経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は5月15日、約1500人の人員削減などを柱としたリストラ策を発表した。車載ディスプレー事業について、切り離して新会社を設ける。経営責任を取ってスコット・キャロン代表執行役会長CEOは6月1日付で辞任し、生産・品質本部調達統括部統括部長の明間純氏が代表執行役社長CEOに就任する。

希望退職は6月16日から8月25日まで、国内の正規雇用従業員と契約社員を対象に1500人規模で募る。退職は7月末以降を予定している。国内外の従業員(約4100人)の約3分の1、国内従業員(約2600人)の約半数に相当する。海外の人員も半数以上を削減する予定とした。

人員削減は国内の各拠点が対象で、来年3月に閉鎖予定の茂原工場(千葉県茂原市)の従業員も含むという。人員削減に伴い発生する退職加算金などの費用は現時点で約95億円を想定し、1500人が退職した場合、年間約135億円の人件費削減が見込まれる。

JDIは、主力だったスマートフォン向けの液晶パネルから撤退を決め、車載が中心となる石川工場(石川県川北町)への生産集約などを決めている。液晶パネル事業を大幅にリストラし、「ビヨンド ディスプレー」を掲げ、半導体やセンサーなど次の収益の柱を探る。

また、車載事業を子会社化して柔軟な経営を進めるため新会社「AutoTech(オートテック)」を10月1日付で設立する。外部資金を引き込みやすくするほか、他社との協業を進める方針だ。

キャロン代表執行役会長CEOは「リストラは大変心苦しく断腸の思いだが、身の丈にあっていない組織・人員体制を見直し、規模を縮小せざるを得ない」と陳謝した。

同日発表した2025年3月期連結決算は、売上高が前期比21.4%減の1880億円、営業損益は370億円の赤字(前期は341億円の赤字)、当期純損益は782億円の赤字(同443億円の赤字)だった。26年3月期予想は未定とした。

一連のリストラ完了後の27年3月期には、売上高は800億円になる見込み。

(2025/5/15更新)