ガソリン代の高騰が家計を圧迫している

 ロシアによるウクライナ侵攻を契機にガソリン価格の高止まりが世界で続く。自動車リースなどを手掛けるナイルによる「ガソリン代に関する調査」では、日本でも調査対象(約4千人)の約6割のユーザーが「車の利用頻度を減らす」などの対策を取っていることが分かった。〝トランプ関税〟の余波で原油価格が下落しているが、為替動向も絡むため、ガソリン価格の先行きは不透明だ。与野党間で駆け引きが続くガソリン税(揮発油税)の暫定税率廃止問題への関心も高い。

 2024年12月まで小売価格は1㍑170円台だったが、同月中旬に政府がガソリン補助金の減額を決めたことで、以降は同180円台が続く。資源エネルギー庁によると、4月28日時点の全国平均価格は1㍑184円50銭だった。ナイルの調査では、こうした価格水準で「生活に変化はない」と答えた割合は39.1%にとどまり、一方で60%超が不満を募らせている結果となった。

 自衛策を聞いたところ、最も多かったのは「利用頻度や走行距離を減らした」(22.2%)だった。出費を抑えるため、車での外出や遠出を控える消費者が増えているもよう。実際、高速道路各社がまとめた大型連休(4月25日~5月6日)中の1日当たりの平均交通量は4万台で、前年同期に比べて2%減少した。10㌔㍍以上の渋滞回数も310回で19回減った。その代わり「外出で発散していたストレスをうまく発散できなくなった」「介護施設に入っている母親に会いに行く回数を減らしたことで、だいぶ寂しがっている」との声も寄せられた。

 レジャーなどでは利用を抑えられても、通勤や通学を含め、日常生活を送る上で車移動が欠かせない地域にいるユーザーは多い。自衛策として「安いガソリンスタンド(給油所)やセルフの給油所に変更した」(15.4%)との声も目立つ。ただ、車を使い続けるには燃料が必要で「(ガソリン代以外の)生活費を削った」「利用頻度を見直したくても減らせない」といった切実な声も上がった。

 政府は、22日から新たなガソリン補助金の支給を始める。同日以降、段階的に補助を拡大し、7月上旬をめどにガソリンと軽油には1㍑10円を元売り各社に支給する計画だ。この施策について聞いたところ、56.1%が補助額への不満を示した。小売価格が1㍑180円を超えている今、補助が始まっても「高騰する前より高いので意味がない」といった声も出ている。一方で「税金が原資で、いずれ影響が出る」と将来的な国民負担を懸念する意見もあった。

 与野党間で議論されている揮発油税の暫定税率(1㍑当たり約25円)廃止問題については、6割が「知っている」と答え「これまで長く続いてきたことが異常で廃止は当然」「道路特定財源から一般財源に変更した時点で廃止されるべきだった」などの意見があった。また「税が上がるときの対応はとても早いのに、廃止の場合は長い時間がかかる」「こういうことが政府の信用失墜を招いている」という政府への手厳しい意見もあった。