24日に開いた会見で陳謝する小出健太社長
中央発條は4月24日、藤岡工場で発生した爆発事故について、安全対策費用や復旧費用などを含めた影響が総額約9億円(概算)になると明らかにした。内訳は安全対策費用が5億円、建屋・設備が2.5億円、生産バックアップと復旧費用が1.5億円。2025年3月期と26年3月期に盛り込む。小出健太社長は「多大なる迷惑をかけたことを深くお詫びする」と陳謝し、事故が起きた要因は調査中としながらも「粉塵機内に粉塵がたまり何らかの要因で着火した」と説明した。今後は異常時に必ず設備を止めるという作業標準を徹底することや安全装置の導入などを進める。
また、北浦啓一執行役員(60)が社長に就く人事を内定したと発表した。6月の定時株主総会を経て就任する。小出社長は交代の理由について「藤岡工場で起きた爆発事故や先日の下請法違反、年齢的な問題など、さまざまなものがある」とし、辞任を申し出たかについて「経緯は控える」とした。次期社長については「安全でクリーンな会社にしていってほしい」と語った。
同社の藤岡工場では、3月6日の午前8時ごろ、第3工場内の冷間コイルラインの集塵機で爆発事故が発生。従業員1人が死亡し、2人が負傷した。建屋も屋根など一部が損傷した。事故の影響によりトヨタ自動車やダイハツ工業、スズキなどが稼働を停止していた。
〈プロフィル〉きたうら・けいいち 1990年中央発條入社。トヨタ自動車出向を経て、2018年中央発條調達部部長、20年執行役員。1965年3月生まれ。