あなたは今までどんな悔しい思いをしてきましたか? 何かの勝負に負けた時。何かに挑戦したけど上手くいかなかった時。何かに取り組んでいたけど人に馬鹿にされた…。こんな時に悔しい思いをしたことがあるのではないでしょうか。
そんな辛くて悲しい記憶は一刻も早く「忘れたい」「消し去りたい」と思っているかも知れません。たしかに悔しいという感情は、ネガティブだと思われがちです。しかし、実は決して悪い感情ではないのです。自分らしさを保つために、とても必要な感情なのです。ただ、若者はこの気持ちを自分の嫌な過去としてとらえ、忘れようとします。
悔しいという感情は、いったいどこから生まれてくるものでしょうか? それは、自分の思った通りにならない時に生まれます。物事に対して自信やプライドを持っていたものの、挑戦したことが上手くいかなかったり、馬鹿にされて悔しい思いをしたことがありますよね。それは自分に対してプライドがあるからこそ、悔しい感情が生まれるのです。
ただし、優秀と言われているビジネスパーソンらは、この悔しいという感情を決して忘れることをしません。むしろ時折この経験を思い出すようにしているのです。なぜなら悔しいという感情が己を奮い立たせ、さらに挑戦するための起爆剤になるからです。
悔しい感情は時には悲しく、時には苦しいものかも知れませんが、その感情が生まれることによって「もう一度挑戦してみよう!」「成功するまでやってみよう!」などと再び立ち上がるための理由ができます。仮に悔しい感情を持っていなかったら、挑戦や努力する理由がなくなり、自分の成長を止めてしまいます。「現状維持」と言えば聞こえはいいかも知れませんが、周りが成長・発展する中での現状維持は「衰退」を意味してしまいます。
悔しい感情があれば挑戦・努力し続けることができます。続けることができれば、いずれ大きな成果につながるでしょう。その大きな成果があなたの自信になって、さらに努力・挑戦する糧になるはずです。
かの有名なミッキーマウスの生みの親であるウォルト・ディズニー氏。彼は何度も事業に失敗し、倒産も経験しています。融資を受けるために、なんと300回以上も銀行に足を運んだそうです。恐らく300回以上も悔しい思いをしていたに違いありません。しかし、その悔しい気持ちを胸に秘め挑み続けた結果、融資を獲得し、世界中に夢を与えるエンターテイナーとなりました。仮に彼が途中で諦めていたら、この世にディズニーランドはなかったかも知れませんね。
悔しかった過去の記憶を無理に消す必要はありません。その経験があなたを強くしてくれて、再び挑戦する気持ちをもたらす起爆剤になるのです。
文:株式会社プログレス 江原忠宏
〈プロフィル〉えはら・ただひろ 2006年東海大学電子情報学部卒、同年国産ディーラー入社。営業職、店長を務めるも、17年5月輸入車ディーラーに転職。入社2年目に係長昇進、3年連続で販売優秀者表彰。その後人材育成にやりがいを見出し、20年プログレス入社。「人材を『人財』に」をテーマに活動中。静岡県出身、41歳。