ホンダは13日、2024年4~12月期の決算説明会をオンラインで開いた。主な質疑応答は次の通り。

 ―北米でのインセンティブ(販売奨励金)の状況は

 青山真二副社長「調達コストが若干上がっていることを反映し、総額は少し増えた。米国のEV(電気自動車)だけで言うと、上期の決算時点から若干、金額は減り良化している。ただし(生産する)GM(ゼネラル・モーターズ)側での供給調整も含んでいる。絞ったことでの保証など、マイナス影響もあり得る」

 ―四輪の利益率改善に向けた施策は

 青山副社長「今年度は二輪事業と比較すると低いレベルにあるが、EV事業と開発コストを除いた、ハイブリッド車(HV)などガソリン車の事業だけで言うと前年度と大きく変わっていない。利益率は8%ほどあり、従来と比べるとかなり改善している。一方、EVは今まさに仕込んでいる断面で、足元では決して事業性が高いものではない。来年度から投入するクルマ(「ゼロシリーズ」)では徐々に良くなる見通しだ。次世代HVの展開も26年度ぐらいから始まる。商品性も大幅に上げており、ガソリン車の収益も上がっていくと考えている」

 ―米トランプ政権によるメキシコとカナダへの追加関税が課せられた場合の影響は

 青山副社長「仮定の質問への回答となるが、25%追加されると今年度は200億円強の影響があるのではないかと計算している。超短期的な話では、メキシコとカナダでの生産分を2月中に米国に持ってくる対応もやっている。(米国販売車のうち)約3分の2は米国生産で、フォード・モーターに次いで高い位置づけだ。とはいえ、輸入台数も多い。中期的にはモデルのアロケーションを変えることも検討できる準備をしている」

 藤村英司執行役常務「米国販売の中で、およそカナダとメキシコ生産分は約4割、およそ55万台だ。両国が米国に頼っている分を足すと、計61万台くらいだ。さらに鉄やアルミ、部品などを含めると、影響は4桁億円の上の方にいく。短期、中期、長期の対応のトリガーをいつ引くか、状況を注視してやっていく」

 ―米のEV市場と規制動向をどう見るか

 青山副社長「トランプ政権で刻々と状況が変わるため、柔軟な対応を俊敏に取っていきたい。税額控除やカリフォルニア州のZEV(ゼロ・エミッション車)規制がどう変わっていくか。そもそもZEV規制は26年からかなりの台数のEVを売らないといけない。業界全体として、今の市場状況では極めて達成が難しい。ここの規制は現実的なものに変わってくるであろうと見立てている。お客さまがアフォーダブルなHVを選ぶようになっているのは間違いなく事実だ。ホンダで言えば今期40万台の販売が、来年には50万台弱になると思う」

 ―タイの市況の見通しは

 青山副社長「与信の強化などファイナンス起因で二輪、四輪ともにこの1年は継続して販売が下がっている。厳しさは変わらないが、四輪は中国メーカーを中心に電動車の攻勢がある。EVは市場で2割程度を締めており、われわれもEVをきっちり売っていく」

 ―中国事業の巻き返し策は

 青山副社長「『イエシリーズ』は品質のつくり込みなどで予定よりも遅れ、3~4月にかけて発売を始めていく。市場はインセンティブを含めて大変厳しい状況だ。NEV(新エネルギー車)比率は2024年に46%を超え、来年は55%超へ増加すると考えている。プラグインハイブリッド車(PHV)はなかなか売れていないのが実態だ。NEV比率が高まる中で、用意しているEVをきっちりと売っていきたい」

 ―通期の設備投資計画が700億円減っている

 青山副社長「年度末に予定していたものが来年度に回り込んだ。具体的にはカナダなどのEV関連投資での話で、遅らせたというよりタイミングが遅れた」