旧ビッグモーターから中古車事業を引き継いだウィーカーズ(田中慎二郎社長、東京都千代田区)は、中古車の輸出事業に乗り出した。まず、1月にニュージーランドへ出荷(台数は非公表)。親会社の伊藤忠商事を通じて行った。今後は伊藤忠傘下で、英国を中心にタイヤの小売り・自動車整備チェーンを展開している「クイック・フィット」の店舗において輸出した中古車を販売することも検討している。ウィーカーズでは一部のアフリカ諸国など左側通行の国を中心に、日本から右ハンドルの中古車の輸出を伸ばしていきたい考えだ。
中古車の小売り大手が、直接輸出を手掛けるのは珍しい。親会社が商社だったため、海外のネットワークを使いやすい面があった。また、先行したニュージーランドは左側通行で右ハンドル車が求められるため、日本の中古車を販売しやすい点も考慮した。
今、検討しているのが、英国への輸出だ。伊藤忠は現地の持株会社を通じてクイック・フィットを子会社化している。英国に約720店舗、オランダに約160店舗(2024年2月現在)の販売網を持つ。店頭に日本の中古車を1、2台ずつ置いても年間で一定の販売台数を確保できるのではないかとみている。
クイック・フィット側は現在、車両販売を手掛けておらず、実現すれば同社の新事業となる。自動車流通で〝川上〟となる車販もカバーすれば、タイヤ販売や整備入庫にもつなげやすく、さらなる事業成長につなげやすい。ウィーカーズも安定した輸出先を確保できるメリットも大きい。伊藤忠出身のウィーカーズの幹部の中には、クイック・フィットの事業に明るい人材もおり、シナジーを生み出しやすい利点もある。
ウィーカーズでは、右ハンドル車が求められる豪州やアフリカ、東南アジアなど仕向け地を拡大したい考え。現地で販売を担当するパートナー企業が大きなカギになるため、選定を進めていく考えだ。
同社は2024年5月に設立。当初から、買い取った車両の「出口戦略」の一つとして、輸出も視野に入れていた。「今後も真剣にやっていく」(幹部)としており、主力の小売りや買い取りに加えて、輸出にも力を入れていく方針。また、将来的には使用済み自動車のリサイクルなどを含め、あらゆる角度から自動車関連の事業を行っていくことを検討している。
24年の日本の中古車輸出台数(車両価格20万円以上)は2年連続で過去最高を更新する可能性が高まっており、プラスならば4年連続となるなど好調を維持している。日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA、佐藤博理事長)によると、23年は前年比24.3%増の153万6472台だった。世界的に日本の中古車の人気が高いことと、円安の影響で輸出がしやすい環境になっている。