商業施設の屋上を利用して特別感を増した試写会を開催
左から宮本芽依さん、シー・チェンハンさん、宮下晃樹さん
監督、主演俳優、協賛会社による上映後のトークショー
参加者はサニーバンなどの展示車に触れて楽しんだ
上映前の展示車を舞台にした三味線ライブ
入場受付時にポップコーンや菓子の詰め合わせを配布

 「バンライフの雰囲気は、屋外で見た方が感じられる。だからドライブインシアターのイベントにした」と話したのは、映像ディレクターで映画監督のシー・チェンハンさん。初監督作品として現代版車中生活「バンライフ」のドキュメンタリー映画「THE ROAD TO ME(ザ・ロード・トゥー・ミー)」を製作し、その初上映・特別試写会をドライブインシアター方式で開催した。作品を通して、キャンピングカーを住居として仕事や生活、旅を続ける人びとのライフスタイルを紹介した。

 ■バンライフをさまざまな面から紹介

 この映画は、主人公の宮本芽依さんが、自作のキャンピングカーで人生の新たな「道」を追い求める姿と、多種多様なバンライフを送る人たちとの出会いや暮らし方、バンライフを選択した理由などを映像化した。台湾出身のシーさんは、来日後にバンライフを通じて友人を増やした経験を持つ。これを生かして、バンライフについて自由さ、楽しさだけではなく、孤独感まで含めさまざまな面からとらえ、若い女性が成長していく姿を作品にまとめた。

 試写会は2024年11月17日、埼玉市中央区の商業施設、イオンモール与野の屋上で開催した。鑑賞チケット(6千円)はクラウドファンドのウエブサイトで販売した。当日は30台、約60人が参加し、バンライフを楽しむ人たちや興味がある人たちの交流会になった。

 ■車体ペイントのPR効果も期待

 協賛会社によるトークショーや、三味線の演奏会、キャンピングカー展示会なども催され、会場を盛り上げた。協賛会社はキャンピングカーと車中泊スポットのシェアリングサービスなどを展開するカーステイ(宮下晃樹代表取締役、横浜市旭区)、アウトドアウェアなどを企画・製作するカラベルワークス(島根淳代表、東京都港区)、BASFジャパン(石田博基社長、東京都中央区)の3社。このうちカーステイとBASFジャパンは宮本さんと深い関わりがある。

 宮本さんは21年11月から23年3月までカーステイの初代「次世代バンライフ・アンバサダー」を務め、バンライフの魅力を発信する活動に努めた。

 今回のイベントでカーステイはバンコン(バンの改造車)型のキャンピングカー「サニーバン」を2台展示。多くの参加者が展示車に乗り込み、バンライフの雰囲気を味わった。宮下さんは「バンライフを広めていく上で、(今回のイベントには)大きな可能性を感じた。さまざまな人のバンライフを知る機会を今後も設けたい」と、映画と展示車によるバンライフ訴求の手ごたえを述べた。

 一方、BASFジャパンは、宮本さんに車の塗装をレクチャー。宮本さんはキャンピングカーの車体をBASFの水性塗料「バスラック」を用いて、自身の好きな色に塗り替えた。

 この車両塗装について、同社コーティング事業部オートモーティブリフィニッシュ部の岡田有美子さんは「宮本さんには、フレッシュな視点でバスラックについて発信していただき、車体ペイントを手掛ける技術者の仕事の魅力も広めていただくようにお願いしている」と、宮本さんの活動や映画に、自動車塗装業界を盛り立ててもらうことを期待している。

 ■ドライブインシアターはバンライフのレジャー

 宮本さんはバンライフとドライブインシアターの関係について「バンライフは外にいながらプライベートな空間を保てることが特徴。その『モビリティリビング』で楽しむレジャーの一つとして、映画を見ながら大切な人たちと時間を過ごすことが新たなエンターテインメント体験になる」と言う。

 シーさんは「日本のバンライフ文化の映画をつくりたいと思い、バンライフを楽しむ人たちが共感できる映画をつくった」と話し、バンライフの普及を願う。今後は、この映画をさまざまな映画祭に出品した後、一般公開を目指す。シーさんと宮本さん、さらに宮下さんたちが協力し、日本のバンライフ文化を広める活動が進められている。

(遠藤 幸宏)