車検ラインでの計測の様子

 国土交通省は、自動車検査(車検)における前照灯審査の「すれ違い用前照灯(ロービーム)計測」について、計測方法を見直して1日から適用を開始した。「カットオフライン」が確認できない自動車などに対応するため、最高光度点の計測位置に新たな判定範囲を追加し、新旧いずれかの範囲内にあれば合格とした。一定期間が経過した後、整備事業者や自動車検査場の関係者らを対象に実態調査を行い、地域事情なども踏まえながら、必要があれば対応を検討する。

 ロービームは、ハイビームと異なり対向車のドライバーを眩惑しないように上方の光をカットしている。このカット部分と照射部分の境界線をカットオフラインという。

 今回の見直しで対象とする自動車は、カットオフラインが確認できないロービームを装備した自動車(レンズ表面にくもりがないものに限る)だ。また、ヘッドライトの規格が異なるなどの並行輸入車や試作車など国から型式指定を受けていない自動車も対象となる。

 これまでヘッドライトの光量計測におけるロービーム計測では、カットオフラインがはっきりと見えない場合には、ロービームの証明部中心を通る水平線より下、垂直線より左の規定された位置で、最高光度が1灯につき6400 カンデラ 以上ある必要があった。

 今回の見直しでは、新たな計測値の判定範囲を追加するとともに、新旧いずれかの判定範囲内で1灯につき6400 カンデラ 以上の最高光度点があれば良いとした。

 並行輸入車や試作車などについては、最高光度点の位置による計測、またはカットオフライン上の左上がりの開始点「エルボー点」の位置のいずれかで計測する。

 前照灯審査におけるロービーム計測の対象車は、1998年9月以降に生産された自動車(二輪車やトレーラーなどを除く)。国交省は当初、今月1日から「全車ロービーム計測のみ」で基準適合性審査を実施する予定だったが、周知不足や地域事情などを考慮して、最長で2年延期とした。

 一方で、全車ロービーム計測のみを実施している地域もあり、1日現在で北海道、東北、北陸信越、中国、中部の5地域を数える。関東や近畿など他地域は、経過措置から完全移行に向けた調整を進めており、準備や体制などが整い次第運用を開始する。