トヨタ自動車系のKINTO(キント、小寺信也社長、名古屋市中村区)は26日、拡張現実(AR)で車載機能を案内する新サービスを無料で始めた。スマートフォン(スマホ)のアプリで、各機能の用途や使い方が分かる。まだ車に詳しくない初心運転者などの理解を促す。また、同社が車載機能を拡張できる「アップグレードアイテム」への関心も高め、アプリ上での注文にも誘導していく。現在の対象車種は新型「プリウス」だが、順次、「ヤリス/ヤリスクロス」などに拡大していく計画だ。
新サービスの名称は、「これなにガイド」。専用アプリでカメラを起動。例えば、ステアリングホイールの左右に配置された各種スイッチなどにかざすと、実在の空間にバーチャルなコンテンツが重ねて表示され、文字と動画で説明が始まる。同機能はサブスクリプション(定額利用)サービスの車両だけではなく、ユーザーが購入した車両でも使用可能だ。
サブスク専用グレードでは、契約内容とアプリがひも付けられ、車両に搭載された機能が一覧表示される。これにより、よりスムーズに使い方を調べたり、アップグレードアイテムを注文したりできる。こうした機能は業界初だという。
キントはプリウスの装備後付けを考慮した「U」グレードにおいて、スマホを車両の鍵として使用できる「デジタルキー」を追加するなど、各種機能の拡充を進めている。こうした新オプションの利用拡大にも貢献しそうだ。
同社が若年層を対象に実施した調査によると、「自身が所有するクルマに付いているスイッチの用途や使い方を十分に理解している」と回答した人は25%にとどまるという。キントは新サービスの導入により、安全かつ安心な車の利用につなげるとともに、納車時の説明など販売店の業務効率化にも貢献する考えだ。
マーケティング企画部の佐野力氏は、「認識対象となる箇所の画像を人工知能(AI)モデルに投入し、内製で、約2カ月で開発した」と明かす。今後は「対応車種の拡大に向け、学習の効率化が課題」とし、引き続き新サービスの強化に取り組む。