日本自動車工業会(自工会、片山正則会長)は23日に会見し、5月末に公表予定の取引適正化に関する改定自主行動計画に、原材料の高騰分といった適切なコスト上昇分の全額転嫁などを明記する方針を示した。日本自動車部品工業会(部工会、茅本隆司会長)とも連携して取引慣行の適正化を進める。

 日産自動車が、公正取引委員会から下請法違反で勧告を受けた後も不当減額を仕入れ先に強要していたとの報道を受けて、自工会では会員企業に対し再度、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の順守を徹底する。部工会とも連携し、原材料やエネルギー費用のほか、労務費も含めて「仕入れ先と協議して適正な転嫁を進める」(片山会長)方針だ。こうした内容を自主行動計画などに明記する。

 自工会では、日産の下請法違反勧告を受け、会員企業を対象に緊急点検を実施中。点検結果は6月末にも公取委や中小企業庁に報告する。

 内田誠副会長(日産社長)は「取引先との信頼関係構築に取り組む中で、(不当な減額に関する)声があがっているのは大変重く受け止めている」と語った。日産としては、報道陣への説明機会を近く設けることも明らかにした。

 「ジャパンモビリティショー2024」の概要も発表した。JMSの裏年として、BtoB向けのイベントと位置付け、10月15~18日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開かれる「CEATEC(シーテック)2024」と併催する。

 自動車メーカーなどが抱える課題の解決をスタートアップが提案する「リバースピッチ」や、自工会の正副会長がテーマごとに参加する「未来モビリティ会議」などを計画している。

 片山会長は「ITやエレクトロニクス産業の企業はモビリティの価値・体験を拡張させる要素やアイデアをたくさん持っている。連携をきっかけに一緒に豊かで夢のある未来の構築を目指したい」と語った。