作業中の事故ゼロを目指す(イメージ)

 いすゞ自動車は、整備工場の新たな事故防止対策をつくる。系列販売会社の整備工場で昨年、2件の死亡事故が起きたことを踏まえ、対策組織を立ち上げて議論に入った。商用車は特に車体や構成部品が大きく、不注意や些細(ささい)なミスがけがなどにつながりやすい。いすゞとしては「事故ゼロ」を目指した管理やオペレーション、工場設備などを取り入れ、再発防止に万全を期す。

 いすゞ系販社では昨年、秋田いすゞ(■「辻」のしんにょうの点が一つ)良之社長、秋田市)といすゞ自動車近畿(前田和男社長、大阪府守口市)で、いずれも整備士がバスの整備作業中に車両の下敷きになって命を落とす事故が起きた。事故を重くみたいすゞは、国内販売の担当役員や社員、各販売会社の経営者と安全推進を担当する役員らを集めて会議体を発足させた。2件の事故事例を共有した上で、安全を担当する役員らによる実務者会議で改めて安全対策を再徹底する方針を確認。外部のコンサルティング会社なども交え、対策づくりを進めている。

 整備工場での事故はいすゞに限った話ではない。13日には静岡日野(金子修一社長、静岡市駿河区)の浜松営業所で整備士がタイヤと車体の間に挟まれ、意識不明の状態で病院に搬送される事故が起きた。

 厚生労働省の統計によると、2023年に自動車整備業で発生した死亡事故は6件だった。この中には納車引き取り中の交通事故なども含まれるが、過去10年間でも年間3~7件の死亡事故が起きている。

 日本自動車整備振興会連合会(竹林武一会長)は、整備主任者資格講習で使用するテキスト内で事故事例を共有し、各地の振興会を通じて啓発活動にも取り組む。人手不足などで整備工場の繁忙感が高まるなか、改めて経営レベルでの対策づくりが求められそうだ。