水中ドローンの例
海洋DXパビリオンのイメージ

 今年のIT見本市「CEATEC(シーテック)2024」(10月15~18日、幕張メッセ)に「海洋DXパビリオン」がお目見えする。海洋産業の次世代を担う人や組織を応援する企画だ。内閣府(総合海洋政策推進事務局)の協力も得て、海洋関連事業・研究を推進する企業や団体を支援する。自動車業界からも、自社技術を生かした開発に関心が寄せられているという。

 JEITAは、業界横断的な共創活動を支援するプログラムを展開しており、この一環として「ALAN(Aqua Local Area Network)コンソーシアム」が活動する。光無線、音波、有線技術などを棲(す)み分けた「水中ネットワーク」の構築や、これらを実装するロボティクス(水中ドローンなど)の開発につなげることを目指している。昨年のシーテックでも活動の一端が紹介された。

 パビリオンは、これを大きく拡充する形で、第4期「海洋基本計画」の重要施策の一つで「海洋におけるDXの推進」を後押しするため、関連技術・サービスをパートナーと連携して幅広く発信する。市場活性化に向けた賛同者を増やすことや社会的なコンセンサスの醸成を目指す。海洋産業の業界にとどまらず、海洋DX全般に関心を持つ官公庁や自治体・教育機関などの参画を見込む。

 近年のシーテックでは、エコシステム(生態系)をめざす「パートナーズパーク」が目玉の一つになっており、自動車・モビリティ業界などからの参画も期待している。自動車業界では、ヤマハ発動機やスズキなどがマリン事業を手がけるほか、ブリヂストンは海で分解するゴムを研究中だ。

 トヨタ紡織は、潮の満ち引きを引き起こす「起潮力」が生物に及ぼす影響を研究している。もともと自動車内装に用いる一年草の植物ケナフを栽培するうち、重力の加速度が下がる(潮が満ちる)時に灯りを暗くすると成長が促進されるといった関係性が判明し、研究を始めた。

 3月末の出展説明会では、内閣府の担当者が政府の施策を説明。AUV(小型無人探査機)の社会実装などをめざす方針を説明した。海洋DXは沖電気工業(OKI)なども取り組んでいる。洋上風力や、それに関連したエネルギーマネジメントも、自動車業界の脱炭素化を間接的に後押しすると期待されている。