ビッグモーターの店舗を立ち入り検査する国交省職員(23年7月)

 国土交通省は、道路運送車両法に基づき昨年7月から実施してきたビッグモーター(和泉伸二社長、東京都多摩市)に対する監査結果をこのほど公表した。法令違反の事実が確認されなかったのは全130事業所中、5事業場のみで、残り125事業場には行政処分または行政指導を行った。斉藤鉄夫国交相は「業界への信頼を損ね、国民生活に多大な混乱を与えた」と同社を厳しく非難した。

 同社と子会社のビーエムホールディングス、ビーエムハナテンで自動車保険金不正請求問題が昨年7月に発覚したことを受け、国交省は板金・塗装(BP)設備を備える34事業場に一斉立ち入り検査を実施した。残るすべての事業場とビッグモーター本社に対しては、不正車検などの法令違反を確認するための監査や聴取などを順次、行ってきた。

 全130事業場のうち、指定自動車整備工場は107事業場あるが、約3割に当たる37事業場で指定が取り消された。指定取消日から2年間は指定自動車整備事業の再申請が認められず、車検業務は行えない。

 このほか、一定期間の車検業務停止を受けたのは31事業場で、小倉西港店(福岡県北九州市)の180日間が最長となった。「文書警告」は20事業場、「口頭注意」は2事業場あった。

 自動車特定整備事業の認証を受けた認証工場に対する行政処分で、一定期間の事業停止を受けたのは、130事業場のうち126事業場に上った。文書警告は11事業場で、口頭注意は3事業場だった。

 法令違反が確認されなかった事業場は、福生店(東京都福生市)、南柏店(千葉県流山市)、宇都宮南店(栃木県宇都宮市)、館林店(群馬県館林市)、太田店(群馬県太田市)だけだった。