技術提携を発表したヤマハの丸山平二常務(左から2人目)とローラのマーク・プレストンモータースポーツディレクター(同3人目)

ヤマハ発動機は3月28日、都内で記者会見を開き、FIA「フォーミュラE世界選手権」用の電動パワートレインの開発で英国ローラカーズと技術提携すると発表した。ローラは2025年から参戦チームに車体の供給を目指している。ヤマハ発はレースで培った電池のエネルギーマネジメント技術などを手の内化し、二輪車や船舶など幅広い電動製品に技術を生かしていく考えだ。

ヤマハ発はフォーミュラE規格のモーターとインバーター、エネルギー制御ソフトを開発する。ヤマハ発の電動パワートレインを組み込んだ車体をローラが仕立て、自動車メーカー系以外のレーシングチームに供給する考え。供給先は後日発表する。

フォーミュラEのパワートレインは出力が350kW(約476馬力)と規定されている。ヤマハ発が市販化する電動二輪車とは異なり高出力のパワートレインが求められるが、自社の基礎技術を生かして開発を進めていく。将来的にはスーパースポーツ向けなど、乗用車用eアクスルの開発と生産にもつなげたい考えだ。

同社は1997年まで、フォーミュラワン(F1)にエンジンを供給していた実績があり、四輪のモータースポーツに参戦するのはそれ以来となる。ヤマハ発の丸山平二取締役常務執行役員は「より高度なエネルギーマネジメント技術を獲得し、全事業の電動技術の底上げに結び付けていきたい」と参戦の意義を語った。

ローラはF1やルマン24時間耐久レースなどで半世紀以上の歴史を持つレースカー製造会社。過去にフォーミュラEのチームで代表を務めていたマーク・プレストン氏をモータースポーツディレクターに迎え、フォーミュラEマシンの供給を計画している。

会見に登壇したフォーミュラEホールディングスのジェフ・ドッズCEO(最高経営責任者)は「自動車や二輪車の電動化を進めるうえで、ローラとヤマハのパートナーシップが社会にも恩恵を与える」と歓迎した。