オムロンがグループで電気自動車(EV)向け事業を拡充している。充電インフラ向け「スマートプラグモジュール」を開発し、協業するユビ電との展開を始めた。グループで手がけるエネルギーマネジメント技術との相乗効果も視野に入れる。同社は制御機器事業の業績悪化を踏まえ、人員削減や事業構造の改革を発表したばかり。成長するEV市場に焦点を合わせ、反転攻勢のきっかけとしたい考えだ。
オムロンは、柱の一つだった車載電装部品の子会社を2019年に日本電産(現ニデック)に譲渡した経緯がある。その上で、売上高の1~2割を占める電子部品事業で新エネルギーや高速通信を柱に掲げ、IoT(モノのネット化)も商機に事業展開している。協業先のユビ電にはグループで出資もしており、グループで他事業との連携も見込める。例えば、オムロン ソーシャルソリューションズ(四方克弘社長、東京都港区)は再生可能エネルギー向けのエネマネを手がける。今回、開発したスマートプラグモジュールは、スイッチング機能と電力計、通信の3機能をまとめたもので、このモジュールと他の電力関係サービスを組み合わせた展開なども想定している。デバイス&モジュールソリューションズカンパニーの岡孝則・新規事業推進部長は「家庭用蓄電池を活用するバーチャルパワープラント(VPP)や、需要側で柔軟に使用量を調整できるデマンドレスポンスなどと組み合わせれば、ユーザーがより安い料金でEVを利用できるようになる」と話す。
同カンパニーは、ウェザーニューズ社と組んで新型の気象IoTセンサーを開発している。リアルタイムにデータを取得し、企業のBCP(事業継続計画)を支援するものだ。今回のEVインフラも含め、製造サプライチェーン(供給網)対策として、一気通貫でこうしたIoTサービスの提供も検討していく。


