オムロンは、事業環境の急激な変化を背景に2025年3月期までとしていた中期経営計画目標を取り下げ、来年度から構造改革を実施すると発表した。期間は25年9月末まで。制御機器事業の早期立て直しや、国内外で約2千人規模の人員削減などを実施する。構造改革により、25年度には300億円(23年度見通し比)の固定費削減を目指す。

 今期は中国経済の成長鈍化や人件費の上昇などを背景に、制御機器事業(IAB)を中心に業績が悪化。23年10月、24年2月と二度にわたり通期見通しを下方修正し、純利益は前年度比724億円減(98・0%減)の15億円にまで急減する見通し。

 特にIABでは、これまで成長をけん引してきた中国市場での二次電池や半導体領域での売り上げ減が響いた。また、急激な需要変動による過剰在庫や販管費率の上昇により、営業利益率の今期見通しも前期比14・1㌽減の3・6%と大幅に低下した。

 このため、昨年10月から固定費の削減を急いできたが、さらに抜本的な見直しが必要と判断した。辻永順太社長は「収益力の改善は全社的な問題だ」とし、IABの早急な立て直しを含む、全社的な取り組みを掲げた。

 具体的には、中国依存からの脱却を目指した事業ポートフォリオの最適化や、売上高に対する販管費比率を26年度以降に30%未満にすることなどを挙げた。

 人員削減では「特定の事業・エリアを対象にしていない」(冨田雅彦取締役)とし、国内グループ会社では1千人程度の希望退職者を募る。海外も現地の法規に従い1千人程度を削減する。

 構造改革の終了後、26年3月末までを次の中計の準備期間とする。辻永社長は「われわれ経営層が現場に出て、理解を得られるように進めていく」と話した。