テスラ以外の車載電池需要も積極的に取り込む

 パナソニック・ホールディングス(HD)は、車載用電池などを手がける事業子会社、パナソニックエナジー(只信一生社長CEO、大阪府守口市)が米テスラ向け高級モデルの販売低迷により、国内工場で車載用電池「1865」電池を減産し、テスラ以外向けの受注拡大や車載以外の営業に力を入れる方針をこのほど明らかにした。テスラ向けは生産調整して収益改善を急ぐ。エナジーの2024年3月期業績見通しは売上高、営業利益ともに下方修正した。

 パナソニックHDの梅田博和グループCFO(最高財務責任者)が30日に開いた23年4~9月期決算会見で明らかにした。

 米国のインフレ抑制法(IRA)では、補助金(税額控除)の対象となる電気自動車(EV)は価格が8万㌦(約1200万円)以下。テスラの「モデルS」などの高級EVは対象外となり、販売が低迷している。テスラの高級EVに搭載している電池は、エナジーの国内工場で製造し、米国に輸出している。

 テスラからの受注が好調だった23年4~6月期は通常レベルで生産していたが、7~9月期に需要が急減し、4~6月期と比べて6割減産した。梅田グループCFOは「(テスラが)税額控除の対象外となったことに対して(高級車の)顧客が敏感ではないと見ていた」と語った。

 テスラ向け電池の不振に加え、新型車載電池「4680」などの研究開発投資などが負担となり、23年7~9月期の車載電池事業は営業赤字に転落した。

 テコ入れに向け、下期は販売と生産を連動させるとともに、需要が依然として好調な北米の供給体制を拡充する。また、テスラ以外の自動車メーカーへの売り込みを進めるとともに、携帯電話の基地局向け電池など、車載以外の営業も強化する。

 IRA影響を除くエナジーの通期業績見通しは、売上高が前回予想より510億円減の9790億円、調整後営業利益が250億円減の300億円とした。エナジーに加えて家電事業などの苦戦もあり、パナソニックHDは23年度通期見通しについて、売上高を1千億円、営業利益を300億円、それぞれ下方修正した。ただ、オートモーティブ事業は、新車生産の回復を受けて増収増益を見込む。