三菱自動車の2024年3月期決算は、売上高が前年度比13.5%増の2兆7895億円、営業利益が同0.2%増の1909億円となり、ともに過去最高となった。ASEAN(東南アジア諸国連合)の一部で市場が低迷したが、円安の影響や商品ミックスの改善などで増益となった。25年3月期見通しは、売上高は同3.2%増の2兆8800億円と過去最高を計画するが、営業利益は同0.5%減の1900億円と減益を見込む。

24年3月期の販売台数は81万5千台だった。北米(同23%増)と日本(同21%増)以外の地域で苦戦した。特にタイとインドネシアは自動車の総需要が低迷。加藤隆雄社長兼最高経営責任者(CEO)は「タイとインドネシアに『トライトン』と『エクスフォース』を投入したが、立ち上げに苦労して新型車効果を十分に得られなかった」と振り返った。販売台数は減少したが、為替影響などが利益面で寄与した。

25年3月期も、引き続きタイやインドネシアの経済回復には時間がかかるとみるが、すべての地域で販売台数は増加する見込み。トライトンとエクスフォースをフィリピンなど他国にも順次展開する計画で、新型車効果が拡大する見通しだ。ただ、足元では円安が進むが今後は「穏やかな円高が続く」(加藤社長)と想定し、営業利益で為替影響を10億円の減益要因と見込む。

設備投資は同6.8%増の1千億円、研究開発費は同9.1%増の1250億円を計画する。