大阪で開かれた先進7カ国(G7)貿易大臣会合は10月29日、閣僚声明を採択し、閉幕した。経済的威圧や不公平な貿易慣行などの動きが強まる中、重要物資のサプライチェーン強靭化には、G7に加えて新興国や民間企業などの連携を強化する必要があることなどを盛り込んだ。世界貿易機関(WTO)を中核に、経済安全保障と自由で公正な貿易の両立・確保に取り組んでいくことも一致した。

同会合は2日間の日程で、大阪市と堺市で開かれた。4月のオンライン形式に続く2回目の会合となる。議長国の日本からは西村康稔経済産業相と上川陽子外相が出席した。

WTOの紛争解決制度改革や経済的威圧への対応、サプライチェーンの強靭化に向けたG7内外の連携強化などについて議論を行った。28日は、インドやインドネシア、チリなど「グローバルサウス」や、資源国と民間企業、WTOなどの国際機関を招いた会合を開いた。G7貿易相会合としては初の試みで、「強靭で信頼性のあるサプライチェーン」の構築に向けた議論を行った。

声明では、経済的依存関係を武器化する行為を非難した。重要鉱物や半導体、蓄電池などの重要物資について、G7内外とサプライチェーンの主要な担い手である民間企業、国際機関との連携を強化する必要性を改めて表明した。迅速な情報共有を図り、各国の法制度と国際法に沿った対応を共同で検討する。民間企業の備えの強化にもつなげる。国際貿易の国家介入に関する議論を始めることでも一致した。