デンソーは8月31日、ソフトウエア定義型車両(SDV)の開発強化に向けた組織変更を9月1日付で行うと発表した。ソフトウエア改革を推進する部署を全社横断組織にするほか、電子システム開発に携わる個々の組織を統括する部署を新設する。ソフトウエアや電子システムを開発する組織を横断化することで車両全体を一括制御するシステムの開発体制を整え、SDV領域の競争力強化につなげる。

 1日付の組織変更では、林田篤CSwO(チーフソフトウエアオフィサー)直結組織で「モビリティエレクトロニクス事業グループ」下の「ソフトウェア改革推進室」を全社横断型に変更するとともに、名称を「ソフトウェア改革統括室」に変更する。同室では、ソフトウエアを基軸とした新価値創出を目的に、開発連携や技術者のキャリア開発支援などを行ってきた。

 また、電子システム開発を担う「統合システム開発部」「電子PFシステム開発部」「モビリティコンピュータシステム統括室」を統括する「電子システム統括部」を新設する。UX(顧客体験)や電子プラットフォーム、モビリティサービスなど個々に開発を進める電子システムを一括企画し、開発から量産までの期間を短縮する。

 SDVでは、スマートフォンのようにソフトの更新やアプリを導入することで性能向上や機能追加が容易となる。ただ、現在の車両はエンジンやブレーキといった機能ごとにECU(電子制御装置)とソフトを搭載しており、SDVの実現には車両全体を統合制御するソフトや電子システムが要る。ソフト畑出身の林新之助社長は「デンソーは(機能ごとの)車載ソフトで蓄積してきたクルマ1台分ノウハウが強み」と語る。複雑に絡むシステムを開発組織の横断化により、クルマ全体の電子システムとして一括企画する考えだ。