曙ブレーキ工業は、2024年6月末に一括返済する借入金約485億円について、返済が困難だと9日までに明らかにした。すでに金融機関へは借り換えによる支援を要請している。世界的な自動車の減産による受注減少に加えて原材料価格の高騰により安定的な資金創出ができておらず、借入金に対して手元流動性資金(約258億円)は大きく不足している。

 曙ブレーキは、借り換えを含む金融機関からの支援の見通しについて、金融機関との協議の上、今期中には合意を得たい考えを示した。同社は「銀行からは一定の理解を得られている。今は、どのような形で借り換えができるのか協議をしている」と語った。

 同社は北米事業の不振が原因で資金繰りが悪化し、19年1月に事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請、同年9月にADR手続きを終え、取引先金融機関の債権放棄や生産拠点の閉鎖を経て経営の立て直しを図っていた。2023年4~6月期の売上高は約409億円(前年同期比18・7%増)、純利益は約12億円(同56・7%減)だった。