人気のトヨタ「ヤリスクロス」

 2023年7月の車名別新車販売台数(登録車と軽自動車の合計)は、トヨタ自動車「ヤリス」が2カ月連続の総合首位だった。ホンダ「N―BOX(エヌボックス)」との首位争いを制し、22年7、8月以来の連続首位だ。トヨタは今春以降、国内供給を増やしており、今後も販売台数の上積みが見込めそう。一方でホンダも今秋にエヌボックスを全面改良し、首位奪還を目指す。

 日本自動車販売協会連合会(自販連、金子直幹会長)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協、赤間俊一会長)が4日、登録車と軽の車名別販売台数を発表した。23年に入ってからヤリスとエヌボックスが首位を争う構図が続く。ヤリスはSUV「ヤリスクロス」の人気が高く、ヤリス全体の4割超を占める。一方、今秋に出るエヌボックスは6年ぶりの新型とあって拡販への期待が高まる。

 登録車は、7月もトヨタ車の強さが際立った。「シエンタ」の販売台数は前年同月比で5.6倍に膨らみ、4カ月連続で3位と好調だ。2位「カローラ」との差も300台ほどに縮まっており、逆転も見えてきた。「プリウス」も同4倍、「ヴォクシー」も同2倍超に販売が伸びた。トヨタ車以外では、日産自動車の「ノート」や「セレナ」、ホンダ「フリード」が上位入りした。

 軽のランキングでは、6、7月に完成車工場を停止した影響でダイハツ車の落ち込みが目立った。「ムーヴ」は前年同月を2割超、下回った。ダイハツは「ムーヴキャンバス」の受注残を大量に抱えており、供給制約は販売現場にとって痛手だ。主力の「タント」は前年同月比では約6割増だったが、前月比では3割減となっており、工場停止の影響が響いている。日産の軽電気自動車(EV)「サクラ」の販売台数は前年同月比4.4%減の3174台だった。

 行動制限がない夏を4年ぶりに迎え、販売現場ではイベントや商談会が復活しつつある。供給制約が解消に向かっていることも追い風だ。ただ、物価高や新車の値上げ、一部車種で残る長納期など懸念材料もあり、今後の受注動向が注目される。