IHIは、自動車や航空機向けの「超高速モーター用高磁束プラスチック磁石ロータ」の開発に成功したと発表した。約50%をプラスチックが占める磁石で従来品と同等の出力を達成できることから、レアアースの使用量削減にも寄与する。2030年代の実用化を目指す。

 同社と秋田大学、秋田県産業技術センターの支援を受けた同県内の企業3社との連携で実現した。開発したロータ(回転子)は溶融したプラスチックに粉末磁石を混ぜて射出成形し、できたプラスチック磁石を特定方向の磁力を増強する「極異方性配向」で利用効率を最大化した。これを高強度のカーボンファイバー複合材(CFRP)リングで覆うことで、毎分10万回転を越える回転数に耐え得る構造とした。射出成形により機械加工を減らし、製造時間とコストの削減も期待できるという。

 同社は試作品について、特性評価の結果、従来の焼結磁石製ロータと同等以上の性能が得られることを確認したとしている。

(2023/6/26修正)