東・西日本の太平洋側に大雨を降らせた梅雨前線は3日午後、関東から東へ遠ざかった。前線の活動を活発化させた大型の台風2号は、午後3時に伊豆諸島近海で温帯低気圧に変わった。大雨の影響で、これまでに1人が死亡、5人が行方不明となり、多数の家屋が浸水した。ただ、自動車業界では人的・物的被害はほぼなく、工場の稼働にも大きな影響は出なかった。
トヨタ自動車は2日夜、愛知県内の堤工場(豊田市)2ラインと田原工場(田原市)2ラインの計4ラインを稼働停止した。工場の排水設備に影響が及んだため。5日は通常通り稼働中だ。影響台数は非公表だが挽回生産するという。デンソー、アイシンなど系列サプライヤーも被害はなく、トヨタ紡織などがトヨタ向けラインを止めた程度だ。スズキ、ヤマハ発動機、ホンダなどにも被害や稼働影響はなかった。
京都府に2拠点を持つ椿本チエインは、鉄道が運休することもあり、2日午後から従業員を帰宅させた。市光工業や矢崎総業なども早期退社を促した。
静岡県内に生産拠点を持つジヤトコは工場で雨漏りが起きたり、駐車場の一部が冠水したりしたが、稼働に支障はなかった。ボールジョイントなどを手がけるソミック石川(斉藤要社長、静岡県浜松市)は1日の時点で事務系にはテレワークを推奨。工場は2日も通常稼働した。
日本精工は、埼玉工場(埼玉県羽生市)で土嚢(どのう)や止水板を用意して浸水被害に備えたが被害はなかった。従業員には安否確認システム経由で定時退社を促し、不要不急の外出を控えるよう呼びかけたという。