安全を高める上で活用が進んでいる人工知能(AI)。車室内の置き去り検知や、ドライバーらのバイタルデータによる健康モニターなど、さまざまな技術が進化する。そんな中で仏ヴァレオは、CES2023でも披露した技術「パントマイム」を、日本で初出展した。自動運転車が交通整理員や警官らの動きを理解し、指示に従うようにできるソリューション。各国の法制度や文化などを踏まえ、「教師データ」を習得させてAIの精度を高めることを目指しており、今後、グローバルに使われそうだ。

前方にいる人が、一般的な歩行者なのか、警官や交通整理員なのかなどを検出。その相手がとっている挙動が、「停止」「左折」「右折」「前進」「路肩に停車」などを読み取り、判定できる。

自動運転車は特に都市部では事故現場や工事現場など、想定していなかった状況にも対応する必要がある。自転車や歩行者などの動きを予測し、安全で効率的なナビゲーションにつなげる狙いだ。

パントマイムのデモでは、交通整理員に扮したスタッフは動きを認識し、そうではないスタッフは除外するといった区別ができる様子も実演した。

ただ、ジェスチャー(手信号)が示す意味は国によっても違う。同社は、AIを手がける「ヴァレオ.ai」を傘下に持ち、ADASや自動運転関連の技術開発をしている。「さまざまなデータを覚えさせている」(担当者)という。また、最近話題の対話型・生成AIについても、運転者への音声アシスタンスなどが考えられるという。

同社はこのほか、AIを使ったドライバーモニタリングシステムも展示している。赤外線カメラとAIアルゴリズムで、ドライバーの状態を検知。眠気を感じていないかや、注意散漫になっていないかをチェックできる。その情報を基に、自動運転モードから手動運転モードへ安全に移行させたりする。また、顔の表情を認識して、ドライバーの気分に合わせた音楽や車室内の照明などに活用できるという。

(日刊電波新聞)

 

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