ソニーグループは18日、経営方針説明会を開き、成長を見込む車載半導体など向けに投資する資金を調達するため、金融事業を株式上場を前提に持分を一部残したまま分社化する「パーシャルスピンオフ」を検討する方針を発表した。十時裕樹社長兼最高執行責任者(COO)は、半導体などに「次元の異なる投資を実行する」と述べ、スマートフォン向けで高いシェアを持つCMOSイメージセンサーで攻勢をかけ、車載や産業インフラ向けの需要を取り込む方針を示した。
同社ではイメージセンサーに過去5年で約1兆円を投資してきた。吉田憲一郎会長兼CEO(最高経営責任者)は「ソニーが追求している感動体験を移動空間に広げることにチャレンジをする」とし、今後は自動車領域での事業拡大などに向けて投資を増やす方針を示した。十時社長も「CMOSイメージセンサーやLiDAR(ライダー、レーザースキャナー)でモビリティの安全性向上に貢献していく」と語った。
半導体の競合他社はグローバルに事業を展開しており、半導体事業だけを見ればソニーよりも大きい。投資競争を勝ち抜くため、金融事業であるソニーフィナンシャルグループを分社化して上場を目指す。分社後も20%弱の持分を維持して社名やブランドなどを残し、グループ各社とのシナジーも追求するため、パーシャルスピンオフ制度を活用する。
吉田会長兼CEOはまた、ソニーホンダモビリティが展開する電気自動車ブランド「アフィーラ」向けに、ソニーグループのエンタテインメントなどを提供し「(モビリティ分野で)新しいエンタテインメントを追求していく」とも語った。