さまざまな架装物に対応した2代目eキャンター

 三菱ふそうトラック・バスは2代目「eキャンター」を発売した。初代の1型式から28型式にシャシーの種類を増やし、商用車の多様なニーズに対応する。物流の「2024年問題」を踏まえ、ドライバーの負担を減らす装備も多く採り入れた。17年から小型電気トラック(EVトラック)を扱う強みを生かし、需要を開拓する考えだ。

 シャシーのバリエーションを増やせたのは、電動車向け駆動モーターシステム「eアクスル」を採用したためだ。初代に用いていたプロペラシャフトやデフなどの部品がなくなることで部品やユニットの搭載自由度が高まり、さまざまな仕様に対応できるようになった。

 架装物を動かすPTO(動力取り出し装置)もモーター駆動の「ePTO」に代え、従来は対応に手間がかかっていたダンプやキャリカー、リアクレーンといった車両を追加しやすくした。従来からある平ボデーやアルミブロック、バン・ウイング、冷凍/冷蔵バン、塵芥車などの架装物にも対応している。担当者は「今回のeキャンターでは、ディーゼル車で搭載可能な架装物はすべて搭載できるようにした」と語る。電動式のため、動作音が静かなことも大きなセールスポイントだ。

 EVトラックの特徴のひとつでもある回生ブレーキは、従来の2段階式から4段階式にした。ブレーキ操作が少なくて済む「ワンペダル走行モード」もあり、運転のしやすさや電費の向上に役立てている。左折巻き込み防止機能や衝突被害軽減ブレーキも標準装備する。運転席のメーターは10インチのフル液晶式とし、先進性を演出している。

 外部給電機能(V2X)を装備したこともニュースだ。「走る蓄電池」として災害時の避難所などでの活用を想定している。

 すでに日本と欧州で売り出しており、数年内に台湾やインドネシア、チリ、シンガポール、香港といった国・地域での展開を予定する。日本では、日野自動車が22年6月に「デュトロZ EV」を、いすゞ自動車が23年3月に「エルフEV」をそれぞれ投入した。2代目eキャンターが加わったことで、小型トラックでもEVへの関心が高まりそうだ。

(織部 泰)