最高速度が時速20キロメートル以下など、一定要件を満たした電動キックボードを対象に、7月1日から新たな交通ルールが適用される。政府は、改正道路交通法の施行日を定めた政令などをこのほど閣議決定した。関係省庁と事業者で組織する官民協議会も、交通安全対策のガイドラインを公表した。

 2022年4月に成立した改正道交法で「特定小型原動機付自転車(特定原付)」の新区分が設けられた。車体構造基準を長さ190センチメートル以下、幅60センチメートル以下とするなど、特定原付としての一定要件や保安基準などを定めた。

 運転免許が不要で、ヘルメットの着用も任意だ。車道と自転車道に加え、最高時速6キロメートル以下なら歩道も走行できる。ただし、16歳未満は運転することができない。特定原付以外の電動キックボードは、これまでと同様に運転免許とヘルメット着用が必要となる。

 ガイドラインでは、購入者に特定原付に関する交通ルールの理解度を図るテストを実施することを定めた。年齢確認には、購入者に対してマイナンバーカードや運転免許証など本人確認書類の提示を求めるほか、購入代金の支払いをクレジットカードに限るなど、16歳以上でなければ購入できない方法を例示した。

 購入者に点検・整備に関する情報を提供することや、自動車損害賠償責任保険(自賠責)などの加入を促すことなども盛り込んだ。

 販売事業者やシェアリング事業者など関係事業者は、ガイドラインに準拠した自主ルールを策定し、それぞれ必要な交通安全対策を実施する。

 近年、電動キックボード利用者の交通事故・違反が増加傾向にある。警察庁によると、20年~23年1月の累計事故件数は76件で、1人が死亡、78人がけがをした。21年9月~23年1月の累計検挙件数は2014件で、そのうち55%が歩道での走行など「通行区分」の違反だった。