永守重信会長兼CEO

 日本電産は13日、4月1日付で5人が副社長に就任する人事を発表した。このうち1人が2024年4月に社長に就任するという。新社長の就任に合わせ、永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は代表取締役を退き、「グループ代表」として経営に関与する。

 同社はこれまで、日産自動車の元副COO(最高執行責任者)の関潤氏など社外から社長候補を招いてきたがいずれも失敗し、後継者選びが経営課題だった。今後は1年かけて社内から後継人材を選ぶ方針だ。

 副社長に就任するのは、日本電産サンキョーの大塚俊之社長(57)、日本電産シンポの西本達也社長(66)のグループ会社トップの2人と、日本電産の北尾宜久専務(62)、小関敏彦専務(64)、岸田光哉専務(63)の3人。この5人の中から来年4月に就く次期社長を選ぶ。

 永守会長は新社長の就任に合わせて会長とCEO職から退き、代表権も返上する。グループ代表として、M&A(企業の合併・買収)などを主導していくと見られる。

 永守会長の後継者選びは混迷を極めている。13年にはカルソニックカンセイ(現マレリ)の元社長・呉文精氏が、18年には双日出身で日産グループにもいた吉本浩之氏が、20年には元日産副COOの関氏がそれぞれ永守会長の後継候補となったが、永守会長の要求に応えられず、いずれも辞任・退社した。永守会長は後継者選びの過程で「社内にも良い人材がいることがわかった」と語り、次の社長候補は社内から選ぶことにした。 次期社長の選定について、永守会長は「以前の失敗もあるため、私の意見はあまり言わないようにする。次の50年はこれまでのような『モーレツ経営』はできない。(次期社長には)働きやすい、良い会社にしていってもらいたい」と語った。