東浦工場の加工ライン

 豊田自動織機は8日、電動コンプレッサーの世界生産体制を2023年度中に1千万台に引き上げると発表した。東浦工場(愛知県東浦町)を2倍に拡張して電動コンプレッサー部品専用の加工ラインを新設するなど国内外で生産能力を増強する。電動コンプレッサーは、エンジンの廃熱が利用できない電気自動車(EV)向けで需要拡大が見込まれる。EVではバッテリーや電子機器の冷却が必要となり、同社では大容量電動コンプレッサーの製品を拡充している。今後は欧米の拠点にも電動コンプレッサーの生産体制を拡充していく方針だ。

 電動コンプレッサーの生産は国内の刈谷工場(同刈谷市)、大府工場(同大府市)、東浦工場の3工場に加え、20年4月から中国子会社のTACK、21年3月からは同YSTでも生産している。同社のコンプレッサー生産台数は21年度実績が2875万台で、その内、電動コンプレッサーは500万台。今回の設備投資でこれを倍増させる計画だ。

 生産能力を引き上げるため、東浦工場と中国TACKに加工ラインを、刈谷工場では組み立てラインの能力を増強する。東浦は工場面積を現状の2万8千平方㍍から5万2千平方㍍に拡張する。中国TACK、YSTも合わせた19年からの総投資額は900億円にのぼる。

 電動コンプレッサーは室内の冷房に加えて、EVの電子機器やバッテリーの冷却も担うため、冷房能力が高い大容量タイプのニーズが高まっている。同社ではトヨタ自動車の新型EV「bZ4X」に34ccの「ESH34」が採用された。50cc超の電動コンプレッサーの開発を終え、大容量タイプの製品ラインアップを拡充することでEV向けのニーズを採り込む方針だ。