IOWN構想のイメージ

 NTTは、コネクテッドカーの普及を見据えて、光技術で自動車、歩行者、道路インフラなどがつながる基盤づくりを本格化する。光技術でネットワークを実現する「IOWN(アイオン)構想」の一環で、自動車からの膨大なデータを収集・解析する技術基盤を確立して交通事故防止などに活用する。将来的には自動車メーカーの枠を超えてコネクテッドカ―のデータを集約し、これを多くの企業が利活用できる環境を整備する。

 同社が掲げるIOWN構想は、光通信でつなぐ「オールフォトニクスネットワーク」、最適な構成でネットワークをつなぐ「コグニティブファウンデーション」、サイバー空間に現実と同じモデルを構築する「デジタルツインコンピューティング」で構成する。

 このうち、自動車関連向けでは、デジタルツインを活用して未来を予測する「4Dデジタル基盤」の確立を目指す。高度地理空間情報データベースに、自動車のセンサー類で収集したリアルタイムデータを光通信で送り、デジタルツインに反映し、これを様々な産業分野で活用できる基盤として提供する。

 自動車メーカー各社はコネクテッドカーの普及を本格化しており、走行する自動車から集まるデータ量は増加の一途をたどっている。将来的に自動運転車から収集されるデータ量は1台当たり年間2ペタ バイト (約2千兆 バイト )になるとされている。自動車のビッグデータを有効活用するためには、高品質で高速な通信システムと解析能力が必要だ。

 4Dデジタル基盤は、高精度3次元地図に車の位置や、車載センサーから収集したデータをリアルタイムに反映し、サイバー空間上で瞬時に分析できるため、目的に応じた未来予測が可能となる。例えば、ある地点の交通状況を分析して現実世界にフィードバックすることで、交通事故の発生を防止しながら交差点の信号機をなくすことが可能になるという。

 NTTは基盤構築に向けてトヨタ自動車と共同研究を進めてきた。2018~20年にかけて車両のデータやGPS、センサーなどから得た情報と渋滞や事故の情報を高精度地図情報に採り入れ、道路上の障害物や落下物検知による後続車への通知や、レーンごとの渋滞情報を提供する実証実験を実施した。

 自動車が障害物を検知してから、後続車が安全に回避するためには7秒前に警告する必要があるという。データセンター経由で後続車に情報を送信する方式では7秒以上かかる可能性がある。近くにあるエッジ(サーバー)で処理・分析することで、通信遅延問題を解消し、後続車への伝達を5秒以内で実現できたという。

 NTTとトヨタは今後、効率的で低コストの基盤づくりを進める。実証実験はLTEや5G(第5世代移動通信システム)を活用したが、これを高速・大容量で通信品質も高い光通信で実現する。自動車、道路インフラ、歩行者など、交通に関係するあらゆるものをつなげる基盤を構築することで、交通事故や渋滞のない交通社会の実現を目指す。

 NTTはトヨタグループと連携して基盤づくりを進めるが、将来的には自動車メーカーの枠を超えた共通の基盤とすることを視野に入れる。「各社が最低限出してもいいという情報を、プライバシーを配慮した上で集める」(研究企画部門プロデュース担当の日高浩太担当部長)とともに、これを活用できるプラットフォームを提供していく。