東芝は22日、低コストで高効率なタンデム型太陽電池の実現に向け、世界最高の発電効率8・4%を達成した透過型亜酸化銅(Cu2O)太陽電池を開発したと発表した。同電池を電気自動車(EV)に搭載した場合、無充電の航続距離は1日当たり約35㌔㍍に達するという。今後、10%の発電効率を目指して開発を継続し、2023年度をめどに評価用サンプルの出荷を開始する。
タンデム型太陽電池は、異なる性質の太陽電池(セル)をボトムセル、トップセルとして重ね合わせ、両方のセルで発電することで全体の発電効率が高められる特徴を持つ。既存のシリコン(Si)太陽電池などをボトムセルに用いた研究開発が進む中、同社は19年に世界で初めて、トップセルとして低コスト化が可能な透過型Cu2O太陽電池を開発した。
今回、発電層の不純物を抑制することで、世界最高の発電効率8・4%の実現に成功。発電効率25%の高効率Si太陽電池に重ね合わせたCu2O/Siタンデム型太陽電池全体としての発電効率は27・4%と試算でき、Si太陽電池の世界最高効率26・7%を超える性能を持つことを確認した。
このCu2O/Siタンデム型太陽電池をEVのルーフやボンネットに搭載した場合、1日の航続距離は約35㌔㍍になると試算できるという。太陽光発電によって車載電池に補充し続けることで、自宅や充電ステーションでの充電なしでも長期間の走行が可能になるとしている。