発売を予定する商用バンおよびピックアップトラックのEVの試作車

 フォード・モーターは、1903年にヘンリー・フォードが設立した米国の自動車メーカーです。2020年の世界新車販売台数は418万台でした。

 同社は自動車黎明期に、ベルトコンベアを使用した組み立てラインを導入するなど、効率的な量産手法を確立。この方法で1908年に生産を開始したのが「T型フォード」の通称で親しまれた「モデルT」です。生産台数の大幅な増加と低価格化を実現し、世界的なモータリゼーションの礎を作りました。

 同社を代表するモデルには、北米のピックアップトラック市場で長年、販売台数トップを獲得する「Fシリーズ」や、SUV「エクスプローラー」、スポーツカー「マスタング」などがあります。高級車ブランド「リンカーン」は、かつて大統領専用車に採用されました。

 CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)が注目される中、同社は2025年までに開発費として電気自動車(EV)に220億㌦、自動運転技術に50億㌦をそれぞれ投じて競争力を高める計画です。

 EVでは、30年までに新車販売に占める比率を40%とする目標を掲げました。まずは21年内に商用バン、22年には「F-150」にEVを設定する予定です。欧州市場で23年に発売予定の新型EVは、フォルクスワーゲン(VW)からEV専用プラットフォーム「MEB」を調達し商品化します。

 日本では1979年にマツダに出資、81年に共同で「オートラマ店」を立ち上げ、マツダ製のOEM(相手先ブランドによる生産)車を中心に販売を本格化しました。94年にはマツダに経営陣を派遣し、共同開発・生産をグローバルに展開しました。

 その後はリーマンショックの影響で段階的にマツダ株を売却し、2015年にはすべて持ち株を手放し関係を解消しました。そして16年末に販売低迷などで日本市場から撤退、正規販売が終了しました。現在は一部の専門店が新車を輸入しています。