出光は小湊鐵道の上総牛久駅前で超小型EVのシェアリングサービスを開始

 石油元売り各社が、新規事業の取り組みを本格化している。出光興産は、超小型電気自動車(EV)などの次世代モビリティ市場に参入する。ENEOS(エネオス)はガソリンスタンド(給油所)を活用した新車のサブスクリプションサービスを本格化する。カーボンニュートラル社会に向けて自動車の電動化が加速すると、石油業界は主力の燃料販売事業の縮小が避けられない。給油所ネットワークなどの経営資源を活用した新規事業確立を模索している。

 出光はタジマモーターコーポレーション(田嶋伸博会長兼社長CEO、東京都中野区)と共同出資会社「出光タジマEV」を4月に設立し、超小型EV市場に参入する。2022年に超小型EVを既存の給油所ネットワークで販売するほか、超小型EVのカーシェアリングサービスも展開する。

 出光はEV事業の本格参入を前に、千葉県市原市と今月30日に包括連携協定を結び、出光タジマEVが提供する超小型EV「ジャイアン」を小湊鐵道・上総牛久駅前に2台配備し、市民や観光客の移動手段としてカーシェアリングサービスを提供する。

 出光では、ラストワンマイルなどの近距離移動ニーズとして超小型EVに年間100万台規模の潜在的な需要があると見込んでおり、EV市場の開拓に本腰を入れる。

 国内最大手のエネオスは、4月から系列給油所で新車のサブスクリプションサービス「ENEOSカーリース」の全国展開を開始した。ライフスタイルの変化に応じて違約金なしで新車に乗り換えることが可能。クルマを保有せずに必要な期間だけ使いたいというニーズに対応し、燃料油やカーメンテナンスなどの関連サービスを組み合わせた独自のサービスを提供する。

 また、エネオスは系列給油所でコインランドリーの併設を推進しているのに加え、併設店で洗濯代行サービスを提供する実証実験も実施中。21年度上期中には洗濯物を集荷・配送するデリバリーサービスも開始する予定で、全国約1万3千ある給油所ネットワークを「生活プラットフォーム」として活用し、事業の多角化を図る。

 コスモ石油マーケティングは、EVを軸とした新たなモビリティサービスの創出に取り組む。第1弾としてグループのコスモエコパワーが手がける風力発電由来で二酸化炭素(CO2)排出量が実質ゼロの電力を使用するEV用急速充電器を系列給油所の「セルフピュア新宿中央」に設置し、EVカーシェアリングサービスも開始した。

 ハイブリッド車などの低燃費車の普及で、国内の燃料需要は低迷し、給油所ネットワークも縮小の一途をたどってきた。脱炭素社会に向けて自動車の電動化が急ピッチで進むと、燃料需要はさらに落ち込むため、石油元売り各社はSSとともにEVなどを軸にした新規事業を早期に確立し、生き残りを図る。