日本損害保険協会(広瀬伸一会長)は、「第22回自動車盗難事故実態調査結果」を発表した。車両本体盗難は、トヨタ自動車「ランドクルーザー」が25件で2年連続の最多被害モデルとなった。レクサス車の被害も多発している。「LX」「LS」「IS」「RX」が上位に入り、上位13モデルのうち3分の1をレクサスが占めた。調査は2020年11月の1カ月間のデータをもとにまとめた。
車両盗難の全体の数は、158件と前回調査から3割減少した。一方で、車両本体盗難の1件当たりの平均支払い額は、前回比4万8000円増の406万2000円と増加した。車両盗難が発生してから発見された場合でも、パーツが外されるなどして支払額は上昇傾向にある。盗難多発時間帯は午後10時から午前9時までが全体の3分の2を占める。発生場所は屋外の自宅、契約駐車場を合わせて78%と高い。
車上狙いは、走行台数が多いことなどから、トヨタ「プリウス」が11回連続のトップとなった。そのほか「ハイエース」などの業務で使用するモデルも車内の荷物が狙われるケースが多く、上位に入った。被害品は外装部品の被害が増加傾向にある。損保協会は「金属素材としての価値が上昇していることや、パーツを転売することも増えているためではないか」と分析する。
警察庁のまとめでは、車両盗難被害は03年から減少傾向にある。官公庁や損保協会などの自動車関連の業界団体で組織する「自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム」の取り組みが奏功している。プロジェクトチームのウェブサイトでは、盗難防止の情報などを発信している。