商品開発の方向性と新規開発鋼「JNRF」の磁気特性

 JFEスチールは、高周波鉄損の低減と磁束密度の向上を両立させた高速モーター用ケイ素(Si)傾斜磁性材料「JNRF」を開発したと発表した。電動車の駆動モーターなどで小型・軽量化を目的とする高速回転化が進んでおり、高周波域での鉄損の低減と高トルク化のための高磁束密度化に対応した電磁鋼板のラインアップを拡充した。

 電磁鋼板は、モーターや変圧器など電気機器の鉄心材料に使う重要な素材となる。電気機器の小型化で電流・電圧などが1秒ごとに振動する駆動周波数の高周波化が進み、高周波域での鉄損の低減が求められていた。高周波域での鉄損の低減には、鋼の電気抵抗を高めるSiの添加量を増やすのが有効で、同社は独自開発の化学気相蒸着(CVD)連続浸珪プロセス技術を用いた製品開発を進めてきた。

 開発品は、ケイ素量と拡散条件を最適化するSi濃度分布のコントロールと、結晶を磁化しやすい方位に配置する結晶方位制御に取り組んだ。これにより、Siを3%含有する無方向性電磁鋼板並みの磁束密度を保ったまま、モーターの大幅な効率化を可能にした。小型・軽量化で高速回転化する電動車やドローンのモーターなどでの採用拡大を目指す。