ホンダは2日、フォーミュラ・ワン(F1)世界選手権から撤退すると発表した。2021年シーズンを最後に参戦終了する。F1で培った技術や人材といった経営資源は、環境対応に向けた次世代技術の開発に振り向ける。八郷隆弘社長は「新たなチャレンジに向けた決意表明でもある」と強調し、「再参戦は考えていない」と述べた。

ホンダは2015年に7年ぶりに4度目となるF1に復帰した。当初はマクラーレンとパートナーシップを組んでパワーユニットを供給していたが、成績は低迷し、17年に契約を解消した。

ただ、18年にスクーデリア トロ・ロッソ(現スクーデリア アルファタウリ)、19年にレッドブルとパートナーシップを結ぶと成績は上昇。レッドブルとアルファタウリの両チームで今季までに合計5回の優勝を挙げており、八郷隆弘社長は「パワーユニットや燃料関連の技術獲得、若手の人材育成など、一定の成果を得られた」と総評する。

一方、足元では環境対応に向けた次世代技術の開発負担が拡大。金銭面だけではなく、人材不足も顕在化していた。ホンダは、30年に世界販売に占める電動車の販売比率を3分の2に引き上げるとともに50年にカーボンニュートラルを実現する目標を掲げる。F1に費やしていたリソースを活用し、目標の達成につなげる。F1への参戦がブランドイメージの構築にもつながっていただけに今後は新しいブランディング戦略も求められそうだ。