後付けの音波センサー
後付けの表示器

 トヨタ自動車が後付けの安全装置を拡充している。センサーで踏み間違い時の暴走を抑える装置に加え、ビッグデータで誤操作を推定する機能を開発した。また、国産メーカーとして初めて、衝突被害軽減ブレーキ装備車の検知機能を高めるソフトウエアのアップグレードにも踏み切った。トヨタの場合、新車販売時の安全装置装着率は9割を超えるが、保有車両すべてに装置が行き渡るには相応の期間がかかる。国の要請もあり、トヨタは後付け装置の普及にも力を入れる。

 交通事故死亡者数は年々減少しているものの、75歳以上の運転者による死亡事故件数は高齢の免許保有者そのものが増えていることもあり、横ばいで推移している。特に目立つのがペダル踏み間違い事故だ。件数自体は多くないものの、75歳未満の踏み間違い事故に比べて8倍以上の発生率で、逆走と並んで社会問題になっている。

 トヨタは、既販車にも後付けできるペダル踏み間違い加速抑制装置を2018年12月に発売した。前後に取り付けた超音波センサーで障害物を検知し、踏み間違いや踏み込み過ぎによる急加速を抑制し事故被害を減らす。量販車の「プリウス」や「アクア」をはじめ、現在は12車種に対応する。累計の装着台数は8月末までで4万4千台だ。

 新車(トヨタ車)の場合、センサーで障害物を検知する装置の装着率は85%に達する。事故データを分析したところ、装置を付けていれば7割の踏み間違い事故を減らせることが分かったが、トヨタは残り3割の事故に着目、ビッグデータを活用して踏み間違いを抑制する新たな技術を開発した。

 18年から本格搭載した車載通信機(DCM)搭載車両、十数万台分の挙動データをもとに、ペダルの踏み間違いを推定するアルゴリズム(計算手順)を確立し、前方に障害物がない場合でも踏み間違いを判定して暴走を抑制できるようにした。この機能も新車向けのほか、「踏み間違い加速抑制システムⅡ」として後付け装置に応用。作動範囲が広がった上、一部センサーが不要なため、従来より価格も2万円ほど安くなった。

 追加装備なしで既販車の安全装置の機能を高めるサービスも9月から始めた。単眼カメラとレーダーセンサーによる衝突被害軽減ブレーキ機能を持つ車両が対象で、ソフトウエアを書き換えることで歩行者検知機能(昼間)を追加する。価格(消費税込み)は4180円。工賃込みで1万円程度を想定する。

 ミッドサイズビークルカンパニーの田中義和チーフエンジニア(CE)は、アルゴリズムによる踏み間違い抑制機能について「残念ながら100%とはいかない」と明かす。センシングに頼らないため、ドライバーの意図を完璧にくみ取ることが難しいためだ。田中CEは「これまでのトヨタなら(こうした機能を)出さなかったかもしれない。それでも一歩を踏み出すことで防げる事故がある」と話す。要望があれば開発したアルゴリズムを他社にも供与する考え。高齢化社会のモビリティ(移動性)確保のため、今後も新車、既販車の両面で開発の手を緩めない考えだ。