「プラスサポート」は専用キーにより自動で作動する
被災地での給電風景(台風15号で長期間停電を強いられた千葉県)

 トヨタ自動車は、国内で発売する新型車に暴走を抑制する機能とハイブリッド車(HV)の給電機能を標準装備していく。7月1日に一部改良した「プリウス」「プリウスPHV」を皮切りに順次、装着車を増やす考えだ。ドライバーの高齢化に伴う誤操作事故の多発や災害など停電時の電力供給といった社会的課題の解決を目指す。

 両車には、前後に障害物がある場合や後退時に暴走を防ぐインテリジェントクリアランスソナー(ICS)に加え、障害物がない場合でも急加速を防ぐ「プラスサポート」を標準装備した。数十万台分の運転挙動をビッグデータとして解析し、運転操作からペダルの踏み間違いを推定して暴走を防ぐ。

 オプションの専用キー(消費税込み1万3200円~)で解錠するとシステムが作動し、エンジンを止めるとリセットされる仕組みにした。開発したアルゴリズム(計算手順)は同業他社やサプライヤーにも提供し、開発に役立ててもらう。

 また、これまでHVのオプション扱いだったAC100ボルト(1500ワット)のアクセサリーコンセントも標準装備した。エンジンを併用すれば4~5日分(消費電力400ワットの場合)の電力をまかなえ、停電時でも冷蔵庫を動かし続けたり、スマートフォンの充電ができる。トヨタはHVすべてに給電機能をオプション設定しているが、ユーザーの認知度は半分、実際の装着率は1~2割にとどまっていた。トヨタとしては、HVの給電機能を標準装備することでユーザーの災害対策に役立ててもらう考え。また、系列販売店と自治体が協定を交わし、災害時に給電機能を持つ販社の車両を行政サービスに使う取り組みも進める。

 プリウスの代表グレードでは7万円分の仕様向上になるが、車両価格は4万2500円高に抑えた。プリウス、プリウスPHV合わせて昨年は約11万4千台を販売しており、この量産効果を活用して他車種でも価格の上昇を抑えながら暴走抑制機能とHVの給電機能を順次、追加していく考えだ。