トヨタ自動車は8日、SUV「RAV4」にプラグインハイブリッド車(PHV)を追加して発売した。高い燃費性能に加え、システム出力でハイブリッド車(HV)を4割近く上回る動力性能を持たせて差別化した。世界で80万台以上を売るグローバル戦略車にPHVを設定し、厳しくなる燃費規制に対応する狙いもある。日本を皮切りに欧米でも順次、発売する。

 RAV4の直列4気筒2・5㍑エンジンを改良し、前部モーターやパワーコントロールユニット(PCU)、DC―DCコンバーターなどを新開発。18・1㌔㍗時の容量を持つリチウムイオン電池を床下に搭載した。電気自動車(EV)走行距離は95㌔㍍、HV燃費は22・2㌔㍍/㍑(ともにWLTCモード)だ。「プリウスPHV」にも採用したヒートポンプエアコンには、駆動用電池を冷媒で直接冷やす機能を加えた。

 プリウスではHVとPHVでシステム出力(90㌔㍗)を変えなかったが、RAV4は前部モーターの出力を増やし、HV(163㌔㍗)を38%上回る225㌔㍗のシステム出力を持たせた。加速性能のほか、減速特性もHVより大きくしてスポーティ感を強調した。

 外観は、PHV専用のフロントグリルとロアモール、LEDデイライト、19インチアルミホイールなどでHVと差別化した。PHV専用色「エモーショナルレッドⅡ」を含む全6色をそろえた。

 価格(消費税込み)は469万円~539万円。国の補助金を使うとベース車との価格差は60万円程度になる。月販300台を計画する。生産は豊田自動織機の長草工場が受け持つ。

 HVに外部電力を併用するPHVは割高なためHVほど普及していないが、環境性能や実用性は高く、急速充電インフラに頼る必要もない。欧州や中国では燃費規制で優遇される。トヨタはモーターとエンジン出力の割合を自在に変えられるTHSⅡの強みをPHVでも最大限に活かして拡販する考えだ。