ハイブリッドレーザーは広域に安定した加工が可能になる

 古河電気工業は、純銅のレーザー溶接で、世界最高レベルの品質を達成する溶接技術を確立したと発表した。発光ダイオードを手がける日亜化学工業と共同開発した「高出力青色レーザーダイオードモジュール」を搭載した高出力青色レーザー発振器と近赤外ファイバーレーザー発振器を組み合わせたハイブリッドレーザーを開発。両レーザーの特徴を生かし、溶接欠陥を大幅に減らせるようにした。同製品は2021年1月に発売するとともに、千葉事業所(千葉県市原市)でのテスト加工も開始する。

 ハイブリッドレーザーは2種類のレーザーを組み合わせ、双方の特徴を生かせるようにした。青色レーザーは銅の光吸収率が高く安定した品質での溶接を、近赤外レーザーは溶接部に深く溶け込めるほか、高速加工を得意とする。これにより、銅のレーザー溶接に関して品質、深度、加工速度で世界最高レベルの技術を確立した。具体的な製品では、50枚の銅箔を1度に高い精度で溶接することが可能になるという。

 銅製品は電気自動車など電動車の普及で、リチウムイオン電池の銅箔や駆動モーター用巻線などで需要が増える見通し。同社はレーザー溶接の加工品質を高めることで自動車の耐環境性能の向上などにつながるとみており、自動車部品の1次サプライヤーや電池、モーターメーカーへの販売を見込んでいる。