CM総合研究所(関根心太郎代表、東京都港区)は、2020年5月度のCM好感度ランキングを公表した。総合ランキングではauスマートフォンの料金プランを訴求するKDDI「三太郎シリーズ」が5カ月連続の首位、2位は圏外から浮上したゼスプリインターナショナルジャパン「キウイフルーツ」。自動車業類はトップ10を逃した。

 東京キー5局でオンエアされた全CMを採録・分析するとともに、特約視聴者モニター3千人にCMの印象やその商品に対する購買意向などを聞いた。今回の対象期間の4月20~5月19日に放映された全CMは2164銘柄(前月比442銘柄減)。このうち自動車業類は65銘柄(同15銘柄減)だった。

 また自動車業類のCM放送回数は2322回で、東日本大震災の発生直後の2011年4、5月度に次ぎ少なかった。新型コロナウイルス感染症による経済停滞の影響がCM放映にも表れた。

 自動車業類の好感度ランキングでは、トヨタ自動車「トヨタイムズキャンペーン」が首位に上昇。CM総研は、このCMに注目した。

 新型コロナにともなう緊急事態宣言下の4月28日にオンエアを開始した新CMは、編集長役の香川照之が「トヨタは世界に37万人の社員がいます。今の状況についてテレ取材したいと思います」と語りかけ、ビデオ通話で世界各地の社員らに現在の状況を聞き取る様子を映したもの。モニターからは「グループ全体が一体となって対策をしている様子が伝わってくる」「日本を代表する企業が戦っている感じがして応援したくなる」といったコメントが寄せられた。

 またトヨタ工業学園の学園長や生徒たちにインタビューをするシーンも好評。成人男性を中心に好感を得て、CM好感要因の「企業姿勢にウソがない」では総合2位を記録した。さらに「説得力に共感」や「時代の先端を感じた」でも多数の支持を得た。コロナ禍における広告活動のあり方を示す好事例といえる。